
栞姉ちゃん、今日は学校で自習時間に「風の谷のナウシカ」見せてもらえたよ。
あれでお話は全部おしまいなの?なんだかもっと広い世界があるような気がして。
続きが見たいな。

いいところに気がついたわね、蒼くん。実は、あの映画で描かれているのは、もっとずーっと壮大な物語の、ほんの始まりの部分なのよ。宮崎駿監督が12年以上もかけて描いた原作の漫画があって、そこには映画では語られなかったたくさんの登場人物や、世界の驚くべき秘密が描かれているの。それに、蒼くんの名前と同じ『蒼き衣の者』の言い伝えにも、もっと深い意味が隠されているのよ。

うわー、知りたい!その原作のことも、映画のことも、もっと詳しく教えて、栞姉ちゃん!」

もちろんよ。蒼くんみたいに『ナウシカ』の世界をもっと旅したい人のために、この記事で色々な情報をまとめたから。さあ、一緒にその世界の奥深くまで探検してみましょうか!
スタジオジブリ作品の原点
自然との共生を描く壮大な叙事詩
『風の谷のナウシカ』を徹底解説
巨大な産業文明が崩壊してから1000年。世界は有毒の瘴気を発する菌類の森「腐海」に覆われ、人類は残されたわずかな土地で、腐海の脅威と、蟲(むし)と呼ばれる巨大な生物たちに怯えながら生きていました。辺境の小国「風の谷」の族長の娘ナウシカは、人々が恐れる腐海や蟲たちとも心を通わせ、自然を愛する優しさを持っています。しかし、西方の軍事大国トルメキアの侵攻をきっかけに、風の谷は大きな戦争の渦に巻き込まれていくことに。本記事では、この不朽の名作の魅力と、より深く楽しむための知識を網羅的にご紹介します。
物語を織りなす、終末世界の重要なキーワード
『風の谷のナウシカ』の壮大な物語は、独自の概念によって形作られています。ここでは、物語を理解する上で鍵となる3つのキーワードを解説します。

腐海(ふかい)
巨大な菌類の森で、有毒な瘴気を発している。人類の生存を脅かす存在とされているが、実は汚染された大地を浄化する役割を担っている。その深部には清浄な世界が広がっている。

王蟲(オーム)
腐海に生息する最大の蟲。巨大な体と多数の青い眼を持つ。普段は穏やかだが、怒ると眼が真紅に染まり、暴走して「大海嘯(だいかいしょう)」と呼ばれる大群の移動を引き起こす。森の守り神的存在。

巨神兵(きょしんへい)
かつての巨大産業文明を焼き尽くしたとされる伝説の人型人工生命体。口から放つ「プロトン砲」は絶大な破壊力を持つ。物語では、トルメキアによって秘石から復活させられる。
物語を彩る登場人物たち(アニメ映画版準拠)
多様な信念を持つ魅力的な登場人物たちが、『風の谷のナウシカ』の世界を動かしています。ここでは、主要なキャラクターを所属する勢力ごとに紹介します。
風の谷

ナウシカ
声優: 島本須美主人公。風の谷の族長の娘。蟲と心を通わせる力を持ち、自然との共生を模索する。その優しさと行動力で多くの人々を惹きつける。
「血を流すだけで何も産みだせはしない!」

ユパ・ミラルダ
声優: 納谷悟朗腐海一の剣士と名高いナウシカの師。腐海の謎を解くために旅を続ける探求者であり、ナウシカの良き導き手でもある。
「我々が生きるには、清浄な水と風が必要なのだ。」

大ババ様
声優: 京田尚子風の谷の長老。谷に伝わる古い言い伝えを守り、人々に語り継ぐ賢者。ナウシカの行動に世界の運命を見出す。
「その者、青き衣をまといて金色の野に降り立つべし。」

メーヴェ
ナウシカの愛機風の谷に伝わる小型の凧(グライダー)。動力源は旧文明の遺物であるセラミックエンジン(ジェットエンジン)で、ナウシカはこれに乗り、風を読んで空を自在に舞う。
トルメキア王国

クシャナ
声優: 榊原良子トルメキアの第4皇女。冷徹で有能な指揮官だが、部下からの信頼は厚い。腐海に対して強い憎しみを抱いている。

クロトワ
声優: 家弓家正クシャナの参謀。皮肉屋で野心家だが、優れた策略家であり、クシャナの能力を高く評価している。
ペジテ市

アスベル
声優: 松田洋治ペジテ市の王子。トルメキアに復讐を誓うが、ナウシカと出会い、腐海の真実を知ることで考えを改めていく。
ラステル
声優: 冨永みーなアスベルの双子の妹。トルメキアの輸送船で捕虜となり墜落。死の間際にナウシカへ巨神兵の秘石を託す。
物語の深淵へ:原作漫画とアニメ映画の違い
『風の谷のナウシカ』には、宮崎駿監督が12年以上かけて描いた原作漫画と、その一部を基にしたアニメ映画が存在します。両者は物語の規模や結末が大きく異なり、それぞれが独自の魅力を持っています。
アニメ映画版
- 公開日: 1984年3月11日
- 制作会社: トップクラフト(本作の成功を元に、主要メンバーがスタジオジブリを設立)
- 概要: 原作漫画の序盤を基に再構成。風の谷・トルメキア・ペジテの三者の対立に焦点を絞り、ナウシカの自己犠牲による奇跡と希望に満ちた結末を描いています。宮崎駿監督の卓越した演出と久石譲の音楽が融合した、日本アニメ史に残る不朽の名作です。
原作漫画版
- 刊行期間: 1982年 – 1994年
- 巻数: 全7巻
- 概要: 映画版が描いた物語(単行本2巻の序盤相当)を遥かに超える壮大な叙事詩。強大な宗教国家「ドルク」が登場し、物語はより大規模で複雑な戦争へと発展します。生命倫理、文明批評、宗教といった重厚なテーマを深く掘り下げ、世界の成り立ちに関する衝撃の真実が明かされます。
初めて触れる人へ:ナウシカ鑑賞・購読ガイド
これから『ナウシカ』の世界に触れる方へ、おすすめの体験順と視聴方法をご案内します。
推奨される体験順
① アニメ映画 → ② 原作漫画
まずアニメ映画で、ナウシカの魅力と世界の基本的な構図を掴むのがおすすめです。美しい映像と音楽は、作品への素晴らしい入り口となります。その後、原作漫画を読むことで、映画では描かれなかった壮大な物語の全貌と、より深いテーマ性に触れることができ、感動が倍増します。
目的別おすすめ
- 手軽に世界観に触れたい方:
まずは「アニメ映画」をご覧ください。約2時間で凝縮された感動と、作品の核となるメッセージを受け取ることができます。 - 物語を忠実に、深く知りたい方:
「原作漫画」全7巻を読むことを強く推奨します。こちらが本来の物語であり、世界の真実が描かれています。
高画質で楽しむアニメ映画版
スタジオジブリの原点となったアニメ映画は、デジタルリマスターされたBlu-rayで鑑賞するのがおすすめです。公開から数十年経った今でも色褪せない、圧倒的な手描きの作画クオリティを最高の環境で体験できます。
動画配信サービス状況(2025年9月時点)

スタジオジブリは作品の価値を大切にする方針から、定額制の動画配信サービスでは基本的に配信を行っていません。視聴は購入やレンタル、TVでの放送の視聴が主な方法となります。
フランチャイズの歩みと影響
一人の漫画家のライフワークから始まり、日本のアニメーション史を変えた一作となった『ナウシカ』。その軌跡を辿ります。
原作漫画 連載開始
月刊『アニメージュ』にて連載開始。鈴木敏夫編集長(当時)が、宮崎駿にアニメの企画が通らないなら漫画を、と依頼したのがきっかけ。
アニメ映画 公開
観客動員数91.5万人、配給収入14.8億円を記録する大ヒットとなる。
スタジオジブリ設立
映画『ナウシカ』の成功を元に、徳間書店の出資を得て高畑勲・宮崎駿らがアニメーションスタジオを設立する。
原作漫画 完結
映画制作などによる幾度かの中断を挟みながら、12年以上の時を経て壮大な物語が結実した。
「ジブリの大博覧会」開催
全国各地で巡回開催。『ナウシカ』から最新作までの膨大な資料が展示され、腐海を再現した展示なども話題を呼んだ。
新作歌舞伎 上演
原作全7巻の物語を初めて完全舞台化し、大きな話題を呼ぶ。
作品を彩る音楽の世界
物語に深い感動と壮大なスケールを与える、久石譲による珠玉の楽曲たち。
シンボルテーマソング『風の谷のナウシカ』
アーティスト: 安田成美
映画公開時にイメージソングとして制作された楽曲。作詞は松本隆、作曲は細野晴臣。映画本編では使用されていませんが、作品を象徴する一曲として広く知られています。
サウンドトラック & 劇中曲
映画の音楽は、後にスタジオジブリ作品に欠かせない存在となる久石譲が手掛けました。オーケストラとシンセサイザーを融合させた壮大で美しい楽曲群は、物語の世界観を深く印象付けています。
- オープニング「風の谷のナウシカ」: タペストリーに描かれた伝説を背景に流れる、神秘的で荘厳なメインテーマ。
- 王蟲の暴走: 緊迫感あふれるパーカッションとメロディが、王蟲の圧倒的な脅威と怒りを表現。
- レクイエム: 幼いナウシカの回想シーンで流れる少女の歌声。美しくも悲しいこの曲は、多くの観客の涙を誘いました。
- 鳥の人〜エンディング〜: クライマックスからエンディングにかけて流れる、希望に満ちた感動的なフィナーレを飾る楽曲。

本サイトの登場人物紹介や物語の概要は、主に1984年公開のアニメ映画版『風の谷のナウシカ』に基づいています。原作漫画は、より広大で深遠な物語を描いています。
原作漫画についてより詳細な記事を用意しました。合わせて読んでもらえると嬉しいです

早速読んでみよう。
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