「甘さ」と「関係性」で見る学園恋愛作品マッピング

栞

今回は、皆さんもきっと大好きな「学園恋愛作品」、その中でも特に人気の22作品を集めて、ちょっと面白い分析を試みてみました。

「この作品は、読後感が甘いの? それとも切ないの?」 「恋のライバルは多い? それとも一途な純愛?」そんな作品たちの特徴を、2つの「軸」を使ってマッピング(地図づくり)してみました。 このマップを見れば、各作品がジャンルの中でどんなユニークな立ち位置にいるのかが、ひと目でわかってしまいますよ。

それでは早速、分析に使った「軸」の定義からご説明しますね。

縦軸 (Y軸): 物語の雰囲気(読後感)

まずは縦軸(Y軸)、これは『物語の雰囲気』、つまり読んだ後の「読後感」を表しています。

[+10: コメディ・甘々](上方向) キャラクターたちの楽しい掛け合いやテンポの良いギャグ、読んでいるこちらが恥ずかしくなってしまうような、甘〜いイチャイチャが中心の作品です。安心して笑いたい、癒されたい時にぴったりですね。

[-10: シリアス・切ない](下方向) 登場人物たちの心の葛藤や、辛いすれ違い、重い過去、三角関係の痛み…。そんなビターな人間ドラマが中心に描かれます。思いっきり泣きたい、深く感情移入したい時におすすめなのはこちらです。

横軸 (X軸): 恋愛の形態(関係性)

次に横軸(X軸)、これは『恋愛の形態』、つまり「どんな関係性」が描かれるか、という軸です。

[+10: 多人数・三角関係](右方向) 一人の主人公に対して、たくさんの魅力的な恋愛対象(ヒロインやライバル)が登場する、いわゆるハーレムや複雑な三角関係がメインですね。「一体、最後に誰が選ばれるの?」というドキドキの『選択』のドラマが楽しめます。

[-10: 一対一の純愛](左方向) こちらは、物語の最初から最後まで、主人公とヒロイン(あるいはヒーロー)が『1対1』でじっくりと関係を深めていくことに焦点が当てられています。二人の世界をゆっくりと見守りたい、という方にはこちらがおすすめです。

作品マッピング

全作品一覧・分析

僕の心のヤバい奴

媒体: 漫画 (秋田書店)
アニメ: シンエイ動画

教室のカーストでは正反対に位置する二人、それが市川京太郎くんと山田杏奈さんです。市川くんは自意識が複雑に絡み合った、少し(かなり?)ダークな思いを抱える男の子。一方の山田さんは、誰もが振り向く美少女モデルでありながら、信じられないほど天真爛漫な食いしん坊さん。本来なら交わるはずのない彼らが、図書室という静かな空間で秘密を共有することから物語は加速していきます。市川くんの繊細すぎるモノローグを通じて、彼が山田さんという「光」に触れ、内面の殻を破って成長していく姿、そして山田さんが彼の優しさを見抜いていく過程が、本当に丁寧に、丁寧に描かれています。読んでいるこちらの心まで浄化されるような、まさに「尊い」という言葉がふさわしい傑作ですね。

マッピング分析

X軸 (関係性)-9
Y軸 (雰囲気)+9

分析・根拠

X軸(関係性: -9): この作品の魅力は、徹頭徹尾「市川くんと山田さん」という二人の関係性に光を当てている点にあります。もちろん、彼らを取り巻く素敵な友人たちも登場しますが、恋愛におけるライバルや複雑な三角関係は意図的に排除されています。ただひたすらに、二人の世界が深まっていく様子を描くことに注力しているため、X軸は「一対一の純愛」の-9と評価しました。
Y軸(雰囲気: +9): 市川くんの中二病的な葛藤はありますが、それはあくまで彼の内面的な成長のためのスパイス。物語の基調は、二人の初々しくも甘いやり取りで満たされています。読者がハラハラするような「すれ違い」や「障害」は最小限に抑えられ、代わりに「砂糖菓子」のような甘さと、くすりと笑えるコメディが全編を覆っています。読後感は最高レベルの「癒し」と「幸福感」であり、Y軸は+9といたしました。

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜

媒体: 漫画 (集英社)
アニメ: A-1 Pictures

エリート中のエリートが集う「秀知院学園」。その生徒会で出会ったのが、副会長・四宮かぐや様と会長・白銀御行くんです。二人はお互いに惹かれ合っているのに、高すぎるプライドが邪魔をして「告白したら負け」というとんでもないルールに縛られています。いかにして相手に告白させるか、そのための「恋愛頭脳戦」が日々繰り広げられるという、新感覚のラブコメディです。二人の高度(?)な駆け引きはもちろん、生徒会の仲間である藤原書記や石上会計といった個性的な面々が、物語をさらに面白くかき回してくれます。笑いとロマンチックが絶妙に融合した作品ですね。

マッピング分析

X軸 (関係性)-7
Y軸 (雰囲気)+8

分析・根拠

X軸(関係性: -7): 物語の根幹は、あくまで「かぐや様と白銀会長」の1対1の関係です。石上くんの恋愛模様など、他のキャラクターのドラマも深く描かれますが、それは群像劇としての厚みであり、メインの二人の関係を脅かす三角関係とは異なります。そのため、X軸は純愛側の-7と評価しました。
Y軸(雰囲気: +8): この作品は「ラブコメ」の「コメ」の部分が非常に強力です。二人の頭脳戦はほとんどギャグとして展開され、テンポの良い掛け合いが魅力です。物語が進むにつれて、かぐや様の家庭環境といったシリアスな側面も描かれますが、全体を覆う雰囲気は圧倒的に明るく楽しいコメディです。読後感は「笑った!」という満足感で、Y軸は+8といたしました。

堀さんと宮村くん (ホリミヤ)

媒体: 漫画 (スクウェア・エニックス)
アニメ: CloverWorks

クラスで人気者の派手なギャル、でも家ではすっぴんで家庭的な「堀京子」さん。学校では地味で暗いオタク男子、でも実はピアスだらけの美形な「宮村伊澄」くん。お互いが学校で見せる顔とは全く違う「秘密の顔」を、偶然知ってしまったことから二人の関係は始まります。お互いの秘密を共有するうちに、二人は急速に惹かれ合い、とても自然に恋人同士になります。この作品の魅力は、付き合うまでの駆け引きよりも、付き合ってからの「日常」を大切に描いている点です。二人の穏やかで甘い時間と、彼らを取り巻く友人たちの温かい群像劇が、心地よく描かれています。

マッピング分析

X軸 (関係性)-8
Y軸 (雰囲気)+7

分析・根拠

X軸(関係性: -8): まさに「堀さんと宮村くん」の物語です。二人は物語の早い段階で結ばれ、その関係は最後まで揺らぎません。もちろん、宮村くんに想いを寄せる女の子や、堀さんにアプローチする男の子も登場しますが、それは二人の絆を強めるためのエッセンスであり、深刻な三角関係には発展しません。1対1の関係性が好きな方にはたまらない内容で、X軸は-8です。
Y軸(雰囲気: +7): 二人の関係は「超微炭酸系」と評されるように、刺激的というよりは穏やかで優しい甘さが特徴です。もちろん、宮村くんの過去など少しビターな部分も描かれますが、基本的には堀さんのサバサバした性格と、宮村くんの天然さが生み出すコメディと甘い日常が中心。安心して読める癒し系の作品として、Y軸は+7としました。

からかい上手の高木さん

媒体: 漫画 (小学館)
アニメ: シンエイ動画

中学校の隣の席、それは二人だけの特別な空間。高木さんは、隣の席の西片くんのことが大好きで、毎日彼をからかって反応を楽しんでいます。一方、西片くんは「今日こそは高木さんをからかい返してやる!」と意気込むものの、いつも高木さんの一枚上手な「からかい」に返り討ちにあってしまいます。高木さんの「からかい」は、西片くんにしか見せない特別な好意の裏返し。それに気づいているのかいないのか、真っ赤になって悔しがる西片くん。そんな二人の日常は、甘酸っぱさとノスタルジーに満ちています。見ているこちらが恥ずかしくなってしまうほどの、純粋な青春の一ページですね。

マッピング分析

X軸 (関係性)-10
Y軸 (雰囲気)+10

分析・根拠

X軸(関係性: -10): この作品は、X軸(関係性)において一つの極点と言えるでしょう。物語の世界には「高木さん」と「西片くん」の二人しかいないのでは?と思えるほど、二人の関係性にのみ焦点が当てられています。ライバルの介入する余地は一切なく、これ以上ない「1対1の純愛」を描いています。文句なしの-10です。
Y軸(雰囲気: +10): 同様に、Y軸(雰囲気)においても極点です。物語にはシリアスな葛藤や切ないすれ違いは一切存在しません。ただひたすらに、高木さんの「好き」が詰まった「からかい」と、それに翻弄される西片くんのリアクションを楽しむコメディで構成されています。読後感は100%の「甘さ」と「癒し」。Y軸も+10と評価しました。

月刊少女野崎くん

媒体: 漫画 (スクウェア・エニックス)
アニメ: 動画工房

勇気を振り絞って、無骨な男子高校生・野崎梅太郎くんに告白した佐倉千代さん。しかし、彼女の「ファンです!」という言葉の解釈を間違えた野崎くんは、彼女にサインを渡します。実は彼、人気少女漫画家「夢野咲子」先生だったのです…!ひょんなことから野崎くんの「アシスタント」になってしまった千代さん。彼女の恋は進展するどころか、野崎くんの突飛な「取材」活動に巻き込まれる日々が始まります。個性的なアシスタント仲間(演劇部の部長や、学園の王子様(女子))たちとの日常は、もはや恋愛ドラマではなく純粋なギャグコメディそのものです。

マッピング分析

X軸 (関係性)-2
Y軸 (雰囲気)+9

分析・根拠

X軸(関係性: -2): メインは「千代さんと野崎くん」ですが、他にも「みこりん」や「鹿島くんと堀ちゃん先輩」など、複数のカップル(?)候補が登場する群像劇の側面が強いです。とはいえ、千代さんの片想いを軸にしているため、1対1が基本。ただし、恋愛の形態自体がギャグのネタになっているため、X軸はほぼ中央の-2としました。
Y軸(雰囲気: +9): この作品から「シリアス」な要素を見つけるのは非常に困難です。千代さんの恋心すら、野崎くんの鈍感力によってギャグに変換されてしまいます。全ての感情が笑いのために奉仕しており、雰囲気は「コメディ」に振り切れています。Y軸は+9と評価しました。

その着せ替え人形は恋をする

媒体: 漫画 (スクウェア・エニックス)
アニメ: CloverWorks

雛人形の「顔師」を目指す真面目な男子高校生・五条新菜(わかな)くん。彼の趣味は少し変わっていて、クラスに馴染めない日々を送っていました。そんな彼の前に現れたのが、クラスの中心人物であるギャル・喜多川海夢(まりん)さん。彼女は新菜くんの「人形愛」を否定するどころか、自分の「コスプレ愛」を打ち明け、衣装制作を依頼します。全く異なる世界に住んでいた二人が、「好き」という共通項で繋がり、お互いの世界を尊重し合いながら距離を縮めていく姿は、本当に眩しいです。「好き」を貫くことの素晴らしさを教えてくれる、新時代のラブコメですね。

マッピング分析

X軸 (関係性)-8
Y軸 (雰囲気)+8

分析・根拠

X軸(関係性: -8): 関係性は「新菜くんと海夢さん」の1対1に完全にフォーカスされています。中盤でコスプレ仲間も登場しますが、二人の恋愛関係を揺るがすライバルというよりは、世界を広げる友人という立ち位置です。二人の絆が深まる過程をじっくりと描いており、X軸は-8です。
Y軸(雰囲気: +8): 雰囲気は非常にポジティブで明るいです。コスプレ衣装の制作という「お仕事」要素はありますが、恋愛面でのギスギスしたすれ違いはほとんどありません。お互いへのリスペクトが根底にあり、海夢さんの天真爛漫なアプローチと新菜くんの誠実さが、甘く爽やかなコメディを生み出しています。Y軸は+8と評価しました。

薫る花は凛と咲く

媒体: 漫画 (講談社)

隣接しながらも、偏差値も品行も正反対の二つの高校。荒くれ者が集う底辺男子校「千鳥高校」と、厳格なお嬢様校「桔梗女子」。千鳥に通う凛太郎くんは、強面な見た目とは裏腹に、とても優しく家族思いな男の子です。ある日、彼は桔梗女子に通う和栗薫子(かおるこ)さんと出会います。二人はすぐに惹かれ合いますが、彼らの間には「学校間」の深い確執と偏見という、大きな壁が立ちはだかります。まるでロミオとジュリエットのような障害がありながらも、二人の純粋な想いが、周囲の心を少しずつ溶かしていく過程を描いた、ピュアなラブストーリーです。

マッピング分析

X軸 (関係性)-9
Y軸 (雰囲気)+2

分析・根拠

X軸(関係性: -9): この物語は「凛太郎くんと薫子さん」の1対1の純愛、そのものです。二人の間には一切の疑いや揺らぎがなく、お互いを深く信頼し合っています。ライバルは登場せず、二人の敵は「周囲の偏見」という外的要因です。そのため、X軸は-9と非常に純愛側に寄っています。
Y軸(雰囲気: +2): ここがこの作品のユニークな点です。二人のやり取りは非常に「甘々」なのですが、物語の主軸は「学校間の対立」や「いじめ」といったシリアスな障害をどう乗り越えるか、というドラマにあります。甘さと切なさが常に同居しており、読後感は癒し一辺倒ではありません。そのため、Y軸は+2という、甘さとシリアスさのバランス点と評価しました。

五等分の花嫁

媒体: 漫画 (講談社)
アニメ: 手塚プロダクション 他

成績優秀だけれど家は貧乏、という高校生・上杉風太郎くん。彼のもとに舞い込んできたのは、破格の好条件の家庭教師アルバイトでした。しかし、教え子はなんと同級生、しかも超個性的な「五つ子」の姉妹たち! 全員が美少女だけれど、「落第寸前」でお勉強は大嫌い。そんな彼女たちを、風太郎くんは無事に卒業まで導けるのでしょうか。物語は「未来の結婚式」のシーンから始まり、「五つ子のうちの誰か一人」が未来の花嫁であることが示されます。一体誰がその花嫁なのか?という大きな謎を軸に、五つ子たちとの賑やかな日常と恋愛模様が描かれる、大ヒットラブコメです。

マッピング分析

X軸 (関係性)+10
Y軸 (雰囲気)+5

分析・根拠

X軸(関係性: +10): 「一人の主人公 vs 五人のヒロイン」という、ハーレムラブコメの王道中の王道です。物語の最大の推進力は「花嫁は誰か?」というミステリーであり、読者は五つ子それぞれとの関係性の進展を見守りながら「選択」のドラマに引き込まれます。X軸は文句なしの+10と評価しました。
Y軸(雰囲気: +5): 五つ子たちとの掛け合いは非常にテンポが良く、ラブコメとして非常に明るい雰囲気を持っています。しかし、同時に五つ子それぞれが抱える内面的な葛藤や、家族とのシリアスなドラマも丁寧に描かれています。単なる甘々やギャグだけでなく、成長物語としての側面も強いため、Y軸はコメディ寄りの+5としました。

ニセコイ

媒体: 漫画 (集英社)
アニメ: シャフト

極道「集英組」の跡取り息子である一条楽くんと、ギャング「ビーハイブ」のボスの娘である桐崎千棘さん。相性最悪な二人は、組織間の抗争を避けるため、お互いの意に反して「ニセモノの恋人=ニセコイ」を演じることになってしまいます。しかし、楽くんには別に想いを寄せるクラスメイト・小野寺小咲さんがいました。さらに、楽くんが幼い頃に「将来結婚する」と約束した「約束の女の子」が持っているはずの「鍵」を、千棘さんや小咲さん、さらには他のヒロインたちまで持っていて…。一体誰が「本物」なのか? 「ニセコイ」から始まる王道ラブコメです。

マッピング分析

X軸 (関係性)+9
Y軸 (雰囲気)+6

分析・根拠

X軸(関係性: +9): 「楽くん、千棘さん、小咲さん」という強固な三角関係をベースに、万里花さんや羽さんなど、次々と魅力的なヒロインが登場する典型的なハーレム構成です。「約束の女の子は誰か」というミステリーが「選択」のドラマを盛り上げ、X軸は+9と評価しました。
Y軸(雰囲気: +6): シャフトさん制作のアニメに象徴されるように、非常にテンポの良いギャグと、大げさなリアクションで魅せるコメディ色が強い作品です。シリアスな展開もありますが、基本的には明るく楽しい雰囲気で進行します。「約束」という過去の謎が少しだけビターな要素を加えているため、Y軸は+6としました。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

媒体: ライトノベル (小学館)
アニメ: Brain’s Base 他

「青春とは嘘であり、悪である」——そんなひねくれた信条を持つ高校生、比企谷八幡くん。彼はその作文が問題視され、教師の平塚先生によって、学園一の才女・雪ノ下雪乃さんが部長を務める「奉仕部」に強制的に入部させられます。そこに、クラスの人気者(リア充)である由比ヶ浜結衣さんも加わり、彼らの歪んだ青春が始まります。彼らは「奉仕部」として生徒の悩みを解決しようとしますが、八幡くんの使う「自己犠牲」という手段は、しばしば関係性をこじらせ、彼ら自身を傷つけることになります。彼らが求める「本物」の関係とは何なのか。痛みを伴う青春群像劇ですね。

マッピング分析

X軸 (関係性)+7
Y軸 (雰囲気)-3

分析・根拠

X軸(関係性: +7): 物語の核心は「八幡くん、雪乃さん、結衣さん」という三人の関係性、そのものです。このいびつな三角関係がどう変化し、どこに着地するのかが最大のテーマです。誰か一人を選ぶという単純な「選択」ではなく、「関係性」そのものを選ぶドラマであり、X軸は明確にプラス側の+7と評価しました。
Y軸(雰囲気: -3): タイトルに「ラブコメ」とありますが、中身は非常にビターでシリアスです。序盤こそコメディ要素もありますが、中盤以降は「本物」という言葉に象徴されるように、人間関係の痛みや自己欺瞞といった内面的な葛藤が中心。雰囲気は甘さよりも切なさや痛みが勝るため、Y軸は-3としました。

彼女、お借りします

媒体: 漫画 (講談社)
アニメ: トムス・エンタテインメント

優柔不断なダメ大学生・木ノ下和也くん。彼は初めてできた彼女にたった1ヶ月でフラれ、その寂しさから「レンタル彼女」サービスを利用してしまいます。そこで出会ったのが、非の打ち所がない完璧な「彼女」・水原千鶴さんでした。しかし、ある出来事から和也くんは、家族や友人に千鶴さんを「本当の彼女」だと紹介する嘘をついてしまいます。その嘘を取り繕うために、二人の「レンタル」関係はどんどん複雑化。さらに、和也くんに猛アタックするレンタル彼女の瑠夏さんや、元カノの麻美さんまで登場し、事態は収拾がつかない方向へ…。和也くんの葛藤が続く、泥沼(?)ラブコメディです。

マッピング分析

X軸 (関係性)+7
Y軸 (雰囲気)-1

分析・根拠

X軸(関係性: +7): 主人公の和也くんを中心に、本命の千鶴さん、猛アタックする瑠夏さん、小悪魔な元カノ麻美さん、そして後輩の墨ちゃん…と、多数のヒロインが彼を取り巻くハーレム状態です。関係性は非常に複雑で、X軸は+7と評価しました。
Y軸(雰囲気: -1): 雰囲気はコメディとして描かれようとしていますが、主人公がつく「嘘」が物語の基盤であるため、読者としては「甘々」とは感じにくい側面があります。主人公の優柔不断さや停滞する関係性に、癒しよりもストレスや切なさを感じる場面も多々。そのため、Y軸はほぼ中央の-1としました。

トモちゃんは女の子!

媒体: 漫画 (星海社)
アニメ: Lay-duce

ボーイッシュで運動神経抜群な女子高生・相沢智(トモ)さん。彼女は幼馴染の久保田淳一郎(ジュン)くんのことが大好き。しかし、ジュンくんはトモさんのことを「親友(男)」としか認識しておらず、トモさんの女心には全く気づきません。「女の子として見られたい!」と奮闘するトモさんですが、彼女の行動はいつも空回り。果たして、ジュンくんに「カワイイ」と言わせる日は来るのでしょうか。二人のズレたやり取りや、親友の(悪魔のような)みすずさん、お調子者のキャロルさんといった友人たちとの掛け合いが楽しい、4コマ形式のギャグコメディです。

マッピング分析

X軸 (関係性)-8
Y軸 (雰囲気)+9

分析・根拠

X軸(関係性: -8): 物語は「トモさんとジュンくん」の1対1の関係に完全に焦点が当てられています。キャロルさんがジュンくんに気があるような素振りも見せますが、二人の関係を脅かすほどの三角関係には発展しません。X軸は純愛側の-8です。
Y軸(雰囲気: +9): 原作が4コマ漫画ということもあり、シリアスな要素はほぼ皆無です。「女の子扱いされたい」というトモさんの悩みすら、二人の掛け合いによってギャグに昇華されています。テンポの良いコメディが全編を支配しており、Y軸は+9と評価しました。

君に届け

媒体: 漫画 (集英社)
アニメ: Production I.G

長い黒髪と内気な性格から、クラスメイトに「貞子」と呼ばれ怖がられている黒沼爽子さん。彼女の憧れは、その名の通り「爽やか」で、誰にでも平等に接するクラスの人気者・風早翔太くんでした。そんな風早くんが、爽子さんに気さくに話しかけてくれたことから、彼女の世界は大きく変わり始めます。風早くんの優しさに触れ、勇気を出して一歩を踏み出す爽子さん。彼女の純粋な「想い」が、友情や恋を通して周囲に「届いて」いく、王道の青春ストーリーです。爽子さんだけでなく、彼女を取り巻く友人たちの成長も丁寧に描かれています。

マッピング分析

X軸 (関係性)-4
Y軸 (雰囲気)+3

分析・根拠

X軸(関係性: -4): 物語の根幹は「爽子さんと風早くん」という、ピュアな1対1の関係です。しかし、この作品には「くるみちゃん」という非常に強力なライバルが登場し、二人の関係をかき乱す「三角関係」のドラマが明確に存在します。そのため、完全な純愛(-10)ではなく、少し中央寄りの-4と評価しました。
Y軸(雰囲気: +3): 二人のやり取りは非常に甘酸っぱく、ピュアな雰囲気を持っています。しかし、爽子さんの内気さや、くるみちゃんの妨害によって生じる「誤解」や「すれ違い」が、シリアスで切ないドラマを生み出しているのも事実です。甘々とシリアスのバランスが取れている作品として、Y軸は+3としました。

アオハライド

媒体: 漫画 (集英社)
アニメ: Production I.G

中学時代、お互いに淡い恋心を抱いていた吉岡双葉さんと田中洸くん。しかし、夏祭りの約束を果たせぬまま、洸くんは転校してしまいます。その淡い初恋を引きずったまま高校生になった双葉さんは、わざとガサツに振る舞うことで「友達」関係を築いていました。そんな彼女の前に、3年ぶりに現れたのは「馬渕」と名前を変えた洸くんでした。彼は中学時代の爽やかな面影はなく、どこか冷めた、掴みどころのない性格に変わっていました。空白の3年間に何があったのか。二人の止まっていた時間が、再び動き出す「青春(アオハル)」の物語です。

マッピング分析

X軸 (関係性)+6
Y軸 (雰囲気)-5

分析・根拠

X軸(関係性: +6): 「双葉さんと洸くん」が主軸ですが、彼らの関係は非常に複雑です。洸くんには長崎時代の過去(唯ちゃん)の影があり、双葉さんには冬馬くんという誠実なアプローチをかける男子が登場します。さらに、悠里ちゃんも洸くんを想っており、複雑な四角・五角関係が展開されます。X軸は+6と評価しました。
Y軸(雰囲気: -5): 「中学時代の初恋」というノスタルジックで切ない要素が物語のベースにあります。洸くんが抱える家族の問題やトラウマ、そして二人の「すれ違い」が中心に描かれ、雰囲気は甘さよりもビターでシリアスです。読者は二人の幸せを願いながらも、その切なさに感情移入することになります。Y軸は-5としました。

となりの怪物くん

媒体: 漫画 (講談社)
アニメ: Brain’s Base

勉強第一で、他人に一切興味がない冷血女子・水谷雫さん。彼女はある日、入学初日に流血事件を起こして停学になった超問題児・吉田春くんにプリントを届けるよう頼まれます。春くんは、初めて自分に関わってくれた雫さんに懐き、一方的に「友達」認定。さらに、いきなり「好き」と告白してしまいます。型破りで予測不可能な春くんの行動に振り回されながら、雫さんの心にも少しずつ変化が生まれていきます。不器用すぎる二人が、「友達」とは何か、「恋」とは何かを学んでいく、新しい形のラブストーリーです。

マッピング分析

X軸 (関係性)+3
Y軸 (雰囲気)+1

分析・根拠

X軸(関係性: +3): メインは「雫さんと春くん」という非常に個性的なカップルです。しかし、春くんのライバルとして、ヤマケンさんという魅力的なキャラクターが登場し、雫さんの心を揺らす「三角関係」のドラマが明確に描かれます。そのため、X軸はややプラス寄りの+3と評価しました。
Y軸(雰囲気: +1): この作品は、二人の奇行が笑いを誘うコメディ要素と、春くんの家庭環境や孤独といったシリアスなテーマが混在しています。甘々というわけでもなく、シリアス一辺倒でもない、独特のバランスを持っています。そのため、Y軸はほぼ中央の+1としました。

好きっていいなよ。

媒体: 漫画 (講談社)
アニメ: ゼクシズ

「友達も彼氏もいらない」。過去のトラウマから、16年間誰とも深く関わらずに生きてきた橘めいさん。彼女はある日、ひょんな誤解から学校一のモテ男・黒沢大和くんを蹴飛ばしてしまいます。しかし、大和くんはそんなめいさんを「面白い」と気に入り、一方的に友達宣言。さらに、めいさんがストーカーに追われた際、彼女を守るために突然「キス」をします。その唐突なキスから、孤独だっためいさんの世界が大きく動き出します。初めての恋、初めてのキス、初めての友達…。戸惑いながらも、大和くんとの関係を通じて、めいさんが少しずつ成長していく姿が描かれます。

マッピング分析

X軸 (関係性)-2
Y軸 (雰囲気)-4

分析・根拠

X軸(関係性: -2): 関係性は「めいさんと大和くん」の1対1が基本です。しかし、大和くんは学校一のモテ男であるため、彼の過去の女性関係や、彼に憧れるライバル、そしてめいさんに好意を寄せる男子など、多くの人物が二人の関係に介入し、波乱を起こします。純愛ではありますが、試練も多いためX軸は-2としました。
Y軸(雰囲気: -4): めいさんが抱える「いじめ」のトラウマや、大和くんの過去など、物語のベースにはビターでシリアスな要素が横たわっています。また、キスやその先といった、他の少女漫画よりも一歩踏み込んだ生々しいテーマも扱っており、雰囲気は「甘々」よりも「シリアス・切ない」側に寄っていると分析し、Y軸は-4としました。

僕等がいた

媒体: 漫画 (小学館)
アニメ: アートランド

高校に入学したばかりの高橋七美(ななみ)さん。彼女はクラスの人気者である矢野元晴くんと出会い、最初は反発しながらも、次第に彼に惹かれていきます。しかし、矢野くんは中学時代に事故で亡くした元カノ・奈々さんの影を、今も深く引きずっていました。彼女の死は、矢野くんの心に大きな傷と罪悪感を残していたのです。七美さんは、矢野くんの心の闇に触れ、彼を過去から救い出そうと奮闘しますが、二人の前にはあまりにも多くの試練が待ち受けています。純粋な「好き」だけではどうにもならない、恋愛の重さと切なさを描いた作品です。

マッピング分析

X軸 (関係性)+5
Y軸 (雰囲気)-9

分析・根拠

X軸(関係性: +5): 「七美さんと矢野くん」が主軸ですが、この二人を巡る人間関係は非常に複雑です。矢野くんの親友である竹内くんは七美さんを想い、矢野くんの元カノの妹である有里さんは矢野くんに執着します。この四角関係が、物語のドラマをより一層深くしています。X軸は+5と評価しました。
Y軸(雰囲気: -9): この作品は「元カノの死」という非常に重いテーマが全編を支配しています。コメディ要素はほとんどなく、ひたすらに切なさ、苦しさ、罪悪感、そしてすれ違いが描かれます。読後感は「甘々」とは対極の「シリアス」であり、Y軸は-9といたしました。

WHITE ALBUM 2

媒体: ゲーム (Leaf)
アニメ: サテライト

学園祭が近づく秋。軽音楽同好会の最後のメンバーである北原春希くんは、バンドの存続をかけて、放課後の音楽室でギターを練習していました。そんな彼の拙いギターに、ある日、完璧なピアノの旋律と、透き通るような歌声が重なります。それが、孤高の天才ピアニスト・冬馬かずささんと、学園のアイドル・小木曽雪菜さんとの出会いでした。バラバラだった三人が、学園祭という一つの目標に向かって集まったことで、彼らの運命は大きく動き出します。しかし、深まる絆と同時に、取り返しのつかない「三角関係」の歯車も回り始めていたのです…

マッピング分析

X軸 (関係性)+9
Y軸 (雰囲気)-10

分析・根拠

X軸(関係性: +9): この物語は、「春希くん、雪菜さん、かずささん」という三人の関係性を描くためだけに存在していると言っても過言ではありません。この強固で逃れようのない「三角関係」が、物語の全てであり、核心です。誰を選んでも、誰かが深く傷つく。そんな「選択」のドラマが描かれ、X軸は+9と評価しました。
Y軸(雰囲気: -10): まさに「シリアス・切ない」の極致です。「なぜ、こんなことになるまで放っておいたんだ」という名台詞に象徴されるように、友情と恋愛の間で揺れ動き、すれ違い、お互いを傷つけ合っていく様が、胃が痛くなるほどのリアリティで描かれます。甘い要素は、その後の苦しみへのフリでしかありません。Y軸は-10といたしました。

true tears

媒体: アニメ (P.A.WORKS)

P.A.WORKSさんのオリジナルアニメーション作品ですね。絵本作家を目指す高校生・仲上眞一郎くん。彼は、両親の死後、実家に引き取られて同居している同級生・湯浅比呂美さんに、密かな想いを寄せています。しかし、二人の間には微妙な距離がありました。そんなある日、眞一郎くんは学校の裏で、不思議な少女・石動乃絵さんと出会います。彼女は「涙」を無くしたと言い、眞一郎くんに「涙」を探す手伝いを求めます。比呂美さんへの想いと、乃絵さんの不思議な魅力。二人の間で揺れ動く眞一郎くんの心と、それぞれの「涙」が交錯する、繊細な青春群像劇です。

マッピング分析

X軸 (関係性)+8
Y軸 (雰囲気)-8

分析・根拠

X軸(関係性: +8): 物語は「眞一郎くん、比呂美さん、乃絵さん」という、明確な三角関係を軸に進行します。どちらが「本物」のヒロインなのか、眞一郎くんはどちらを選ぶのか、という「選択」のドラマが、視聴者を強く引き付けます。幼馴染の愛子ちゃんも含めると、関係性はさらに複雑です。X軸は+8と評価しました。
Y軸(雰囲気: -8): P.A.WORKSさん特有の美しい映像で描かれるのは、高校生の生々しい嫉妬や、家庭環境の悩み、そしてどうしようもない「すれ違い」です。コメディ要素は少なく、全編を通して切なく、少し重い空気が漂っています。まさに「泣きたい」ときに見る作品であり、Y軸は-8といたしました。

花より男子

媒体: 漫画 (集英社)
アニメ: 東映アニメーション

「花より男子」、恋愛ドラマの金字塔ですね。物語は、超お金持ちの生徒だけが通う名門・英徳学園に、一般庶民の牧野つくしさんが入学するところから始まります。学園は、超セレブな4人組「F4(エフフォー)」によって牛耳られていました。ある日、友人を庇ったつくしさんは、F4のリーダーである道明寺司に逆らったとして、学園中から「赤札」を貼られ、壮絶ないじめのターゲットになってしまいます。しかし、つくしさんは「雑草魂」でこれに真っ向から宣戦布告! そんな彼女の強さに、F4のメンバーである花沢類、そして絶対的なリーダーであったはずの道明寺司が、次第に惹かれていくのです。

マッピング分析

X軸 (関係性)+6
Y軸 (雰囲気)-2

分析・根拠

X軸(関係性: +6): 物語の大きな柱は、間違いなく「つくしさん、道明寺、類」という王道の三角関係です。最初は類に惹かれていたつくしさんと、強引にアプローチする道明寺。この二人の間で揺れ動く「選択」のドラマが、読者を夢中にさせました。X軸は+6と評価します。
Y軸(雰囲気: -2): 道明寺の「ありえねー!」といった言動はコメディ要素が強いですが、物語のベースは非常にシリアスです。「いじめ」「貧富の格差」「親からの反対」「記憶喪失」など、二人の前にはこれでもかというほどの障害が立ちはだかります。甘さよりも、苦難を乗り越えるドラマ性が強いため、Y軸は-2としました。

ピーチガール

媒体: 漫画 (講談社)
アニメ: スタジオコメット

元水泳部で、肌が色黒なギャル風の見た目。それが主人公の安達ももさんです。彼女はその見た目から「遊んでそう」と周囲に誤解されがちですが、実は中学時代から硬派な同級生・東寺ヶ森(とーじ)くんに片想い中という、とても純粋な女の子。しかし、彼女の「友人」である柏木さえさんは、一見すると天使のようですが、実はももさんのものを全て奪おうとする小悪魔。さえさんは、ももさんととーじくんの仲を裂くため、次々と陰湿な罠を仕掛けてきます。そんなももさんの前に、学園一のモテ男・岡安浬(カイリ)くんが現れ…。嵐のような学園生活が幕を開けます。

マッピング分析

X軸 (関係性)+8
Y軸 (雰囲気)-7

分析・根拠

X軸(関係性: +8): この作品は「ももさん、とーじくん、カイリくん」という激しい三角関係が中心です。一途に想う相手と、自分を助けてくれる相手。二人の間で揺れ動くももさんの「選択」が、物語の核心となっています。X軸は+8と評価しました。
Y軸(雰囲気: -7): とにかく「さえ」さんの妨害工作が強烈です。誤解、すれ違い、裏切りがノンストップで続き、読者は「甘々」どころか、ももさんと一緒に苦しみを味わうことになります。雰囲気は非常にシリアスで、ジェットコースターのようなドラマ展開が続きます。Y軸は-7といたしました。

School Days

媒体: ゲーム (0verflow)
アニメ: TNK

主人公の伊藤誠くんは、毎朝同じ電車で見かける桂言葉さんのことを、密かに想っていました。そのことをクラスメイトの西園寺世界(せかい)さんに相談したところ、彼女が「仲を取り持ってあげる」と協力してくれることに。そのおかげで、誠くんと言葉さんは無事に付き合うことになります。しかし、誠くんは、協力してくれたはずの世界さんのことも気になり始め、彼女とも関係を持ってしまいます。この優柔不断な行動が、取り返しのつかない事態を引き起こすとも知らずに…。最初は純粋なラブコメのように見えますが、物語は次第にその様相を変え、衝撃的な結末へと向かっていきます。

マッピング分析

X軸 (関係性)+9
Y軸 (雰囲気)-10

分析・根拠

X軸(関係性: +9): 「誠くん、言葉さん、世界さん」という三角関係が、この物語の全ての始まりであり、破滅の引き金です。主人公の「選択」が、最悪の形で関係性をこじらせていきます。X軸は+9と評価しました。
Y軸(雰囲気: -10): この作品を「シリアス」や「切ない」という言葉で分類するのは、もはや生易しいかもしれません。序盤のラブコメ風の雰囲気は全て前フリであり、中盤以降は裏切りと修羅場が続きます。そして、最終的には「悲劇」としか言いようのない結末に着地します。雰囲気は-10、シリアス軸の極点に位置づけました。

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