ゲーム界の巨星「アトラス」の遺伝子:全21作品マッピングで見る「思想」と「体験」のポジション

蒼

栞姉ちゃんはアトラスゲームが好きなんだよね。

僕も「ペルソナ」とかやりたいから、どれがお勧めか教えて欲しいな。

栞

アトラスフリークの私に任せて頂戴。……と言いたいところだけど、蒼くん、それは「一番難しい質問」よ。

一口に「アトラス」と言っても、実は作品によって全然「味」が違うんだから。

蒼くんがやりたい『ペルソナ』シリーズは、確かに今のアトラスの顔よね。

スタイリッシュな演出と、仲間との絆や学園生活といった「体験」が中心。

最新作『メタファー:リファンタジオ』も、この流れを汲む超期待作よ。
でも、アトラスのもう一つの顔である『真・女神転生』シリーズは、全くの別物。

『神と悪魔』の思想対立とか、世界の運命とか、すごく「哲学的」なテーマを扱うの。

ゲーム性も、悪魔合体に頭を悩ませるような、歯ごたえのある「ストイック」なRPGが基本。
だから、「どっちのアトラス」に興味があるかで、お勧めが真逆になるの。

そこで! 今回はアトラスの主要な作品を、2つの軸で分類した特別な「ポジショニングマップ」を用意したわ。
一つは【物語の焦点】(世界的か、個人的か)。
もう一つは【プレイスタイル】(ストイックなRPGか、物語体験重視か)。
この記事を見れば、各作品がアトラスの中でどういう立ち位置なのかが一目瞭然よ。

まずはこの「アトラス作品マッピング」を見て、蒼くんが「ピンと来る」作品を探してみましょう!

インタラクティブマップ

アトラスの21作品を2つの軸でプロットしたマップです。 Y軸(縦)は物語の焦点を表し、上(+10)に行くほど「世界的・哲学的」、下(-10)に行くほど「個人的・人間関係」に焦点を当てた作品です。 X軸(横)はゲームのプレイスタイルを表し、右(+10)に行くほど「物語体験・キャラクター重視」、左(-10)に行くほど「ストイックなRPGシステム重視」の作品です。

  • すべて表示
  • 真・女神転生
  • ペルソナ
  • その他
← ストイックRPG [-10] (X軸: プレイスタイル) [+10] 物語体験 →
世界的・哲学的 [+10]    (Y軸: 物語の焦点)    [-10] 個人・人間関係

総合比較考察

調査のまとめとして、21作品全体の傾向について考察します。ここでは特に「真・女神転生」と「ペルソナ」の対比、そしてマップ上で特異な位置にある作品群に注目します。

考察1: 「真・女神転生」 vs 「ペルソナ」の棲み分け

このマッピング図において、「真・女神転生」シリーズと「ペルソナ」シリーズは、明確な棲み分けを見せています。

  • 「真・女神転生」シリーズ (SMT): マップの「左上」(X軸: ストイック, Y軸: 世界的)の領域に集中しています。『I』『II』『SJ』『V』など、シリーズの核となる作品群はすべて、世界の運命や「ロウ vs カオス」の思想的対立をテーマに持ち(Y軸+)、悪魔合体や難解なダンジョンといったストイックなゲームプレイ(X軸-)を特徴としています。
  • 「ペルソナ」シリーズ: マップの「右下」(X軸: 物語体験, Y軸: 個人)の領域に集中しています。『3』『4』『5』は、学園生活や仲間との絆、個人の内面的な葛藤に焦点を当て(Y軸-)、スタイリッシュな演出やキャラクターの魅力、日常と非日常の往来といった「体験」を重視(X軸+)しています。

このように、両シリーズはアトラスのRPGにおける「神話的・内省的RPG」と「ジュブナイル・関係性RPG」という二大潮流を、マップ上で綺麗に二分する形で体現しています。

考察2: マップ上でユニークな立ち位置にある作品

主要なシリーズ作品群から離れ、マップ上で特にユニークな、あるいは極端な立ち位置にある作品がいくつか存在します。

  • 『世界樹の迷宮』シリーズ (X: -10, Y: -8): 「最もストイックで、最も個人的」な左下の極に位置します。物語はほぼ存在せず、プレイヤー自身のギルドの成長とダンジョン踏破(Y軸-)に焦点を当て、その魅力は歯ごたえのある戦闘とマッピングという、ゲームプレイそのもの(X軸-)に振り切っています。
  • 『十三機兵防衛圏』 (X: +10, Y: +7): 「最も物語体験に振り切り、かつ世界的」な右上の極に位置します。ゲームプレイの核は、ADVパートで語られる群像劇とSF叙事詩そのもの(X軸+)であり、その物語は個人のドラマから始まり、最終的に人類の存亡をかけた壮大なスケール(Y軸+)へと展開します。
  • 『キャサリン・フルボディ』 (X: +5, Y: -10): 「最も個人的」なY軸の底に位置します。物語は世界の運命とは一切関係なく、一人の男の浮気と結婚への葛藤という、極めて個人的なテーマ(Y軸-)に終始します。ゲーム性はパズルとADVの融合(X軸+)であり、他のRPGとは一線を画しています。
  • 『メタファー:リファンタジオ』 (X: +8, Y: +4): 『ペルソナ5』チームが手掛ける本作は、「物語体験」重視(X軸+)の右側に位置します。一方、テーマは「王国の未来」という「世界的」なものであるため、Y軸はプラス圏にプロットされます。『ペルソナ』の「体験」と『SMT』に近しい「世界的」なテーマ性を併せ持つ、マップ右上のユニークなポジションを確立しています。

作品一覧と個別分析

調査対象となった全21作品のリストです。各作品の基本情報、設定された座標、およびその分析根拠をまとめています。 マップ上のドットや上記のドロップダウンリストから、これらの項目にジャンプできます。

真・女神転生 (SFC)

基本情報

主な媒体: ゲーム (SFC)

ゲームジャンル: 3DダンジョンRPG

作品概要: 199X年、東京・吉祥寺。主人公の少年は奇妙な夢をきっかけに、悪魔召喚プログラムを手に入れる。時を同じくして東京はICBMにより壊滅。悪魔が跋扈する封鎖都市となった東京で、少年は親友であるロウヒーロー、カオスヒーローと再会するが、彼らはそれぞれ「ロウ(秩序)」と「カオス(混沌)」の思想に取り込まれていく。主人公は、神と悪魔、そして人間の未来を賭けた思想的対立の渦中で、自らの道を選択することになる。

マッピング分析

座標 (X, Y): (-9, 9)

分析・根拠: Y軸 (+9 世界の運命・哲学): 物語の根幹は、唯一神による秩序(ロウ)か、ルシファーによる自由(カオス)か、あるいは人間自身の道(ニュートラル)かという、世界のあり方を決定づける壮大な思想選択にあるため、極めて「世界的・哲学的」と評価。東京崩壊というスケール感もY軸の+評価に大きく寄与している。
X軸 (-9 ストイック・ダンジョンRPG): 当時のRPGとして、悪魔合体の複雑さ、シビアな戦闘バランス、オートマッピングすらない(リメイク版では追加)広大な3Dダンジョン探索は、まさに「ストイック」の極み。物語は断片的に語られ、プレイヤーは自ら情報を集め探索する必要があり、ゲームプレイの歯ごたえが魅力の核となっているため-9とした。

▲ マップに戻る

真・女神転生II (SFC)

基本情報

主な媒体: ゲーム (SFC)

ゲームジャンル: 3DダンジョンRPG

作品概要: 前作から数十年後。大洪水により荒廃した未来。人々はメシア教が支配する巨大都市「TOKYOミレニアム」で暮らしていた。記憶喪失の主人公アレルヤは、コロシアムでの戦いを経て「救世主」として迎え入れられるが、やがて彼はミレニアムの欺瞞と、唯一神の恐るべき計画を知る。前作の英雄たちやサタン、ルシファーといった超常的な存在と対峙し、神殺しという究極の選択を迫られる。

マッピング分析

座標 (X, Y): (-8, 10)

分析・根拠: Y軸 (+10 世界の運命・哲学): シリーズでも最も形而上学的なテーマに踏み込んだ作品。「救世主」とは何か、唯一神の「選別」は正しいのか、そして「神殺し」の是非を問う物語は、まさに「世界の運命」と「哲学」の頂点にあるため+10とした。
X軸 (-8 ストイック・ダンジョンRPG): 前作のストイックなゲームシステムを継承・洗練。悪魔合体やダンジョン探索の歯ごたえは健在。前作よりもキャラクターのドラマ性や物語の導線が強化された(例:ベスとアレルヤの関係性など)ため、物語体験の比重がわずかに増し、X軸は-8と評価。しかし、本質は紛れもなくハードなRPGである。

▲ マップに戻る

真・女神転生III NOCTURNE

基本情報

主な媒体: ゲーム (PS2)

ゲームジャンル: 3DダンジョンRPG

作品概要: 200X年、東京。主人公の少年は、恩師である裕子に会うため訪れた病院で、世界の終わり「東京受胎」に巻き込まれる。謎の金髪の子供と老婆により「マガタマ」を埋め込まれた主人公は、悪魔(人修羅)として覚醒。崩壊した東京=ボルテクス界で、友人であった千晶や勇が掲げる新世界創造の理念「コトワリ」を巡る戦いに身を投じていく。

マッピング分析

座標 (X, Y): (-7, 8)

分析・根拠: Y軸 (+8 世界の運命・哲学): 「東京受胎」による世界の終末と、その後の新世界をどのような理念(コトワリ)で創造するかという思想闘争がテーマ。シジマ(静寂)、ヨスガ(孤独)、ムスビ(混沌)という各コトワリは、ロウやカオスを再解釈したものであり、極めて哲学的で「世界的」なテーマのため+8と評価。
X軸 (-7 ストイック・ダンジョンRPG): 「プレスターンバトル」という戦略的システムと悪魔合体の奥深さが魅力の核。スタイリッシュな演出もあるが、本質はストイックなため-7。

▲ マップに戻る

真・女神転生V

基本情報

主な媒体: ゲーム (Switch)

ゲームジャンル: 3DダンジョンRPG

作品概要: 現代の東京。トンネルの崩落事故に巻き込まれた主人公は、砂漠と化したもう一つの東京「ダアト」に迷い込む。悪魔に襲われた主人公は、謎の存在「アオガミ」と融合し、禁忌の存在「ナホビノ」となる。日本の神々(八百万の神)や悪魔たちが覇権を争うダアトで、主人公は「神の不在」の謎と、世界の未来を賭けた「創世」の戦いに挑む。

マッピング分析

座標 (X, Y): (-6, 9)

分析・根拠: Y軸 (+9 世界の運命・哲学): 神が不在となった世界で、誰が次の「神」となり、どのような世界を「創世」するのか。ロウ・カオス・ニュートラルに相当する思想選択も健在であり、SMT本流の「世界的・哲学的」テーマのため+9と評価。
X軸 (-6 ストイック・ダンジョンRPG): プレスターンと悪魔合体というストイックなRPG性を持ちつつ、広大なフィールド探索の楽しさや、魅力的なキャラクター造形(アオガミ等)も加わったため-6。

▲ マップに戻る

デジタル・デビル・サーガ 〜アバタール・チューナー〜

基本情報

主な媒体: ゲーム (PS2)

ゲームジャンル: RPG

作品概要: 雨が降り続く閉鎖世界「ジャンクヤード」。そこでは6つの部族が、勝者が行けるという「ニルヴァーナ」を目指し、終わりなき抗争を続けていた。ある日、謎の物体から放たれた光により、主人公サーフをはじめとする人々は、悪魔に変身(アバタール)し、他者を喰らう「業(カルマ)」を背負う。謎の少女セラの登場により、彼らは世界の真実と、神(ブラフマン)との対峙へと導かれていく。

マッピング分析

座標 (X, Y): (3, 5)

分析・根拠: Y軸 (+5 世界の運命・哲学): 当初は部族間の抗争だが、物語が進むと世界の真実や神(ブラフマン)との対峙という哲学的テーマに移行するため、中間的な+5。
X軸 (+3 物語体験・キャラクター): SMT3のバトルを継承しつつも、キャラ固定・スキル習得型で、仲間との絆や重厚な物語体験に重きが置かれているため+3。

▲ マップに戻る

デビルサバイバー シリーズ

基本情報

主な媒体: ゲーム (DS, 3DS)

ゲームジャンル: シミュレーションRPG

作品概要: 悪魔が出現し、自衛隊によって完全封鎖された東京。主人公たちは突如、悪魔召喚プログラムがインストールされたCOMP(携帯ゲーム機)を手に入れる。さらに彼らには「余命」が表示され、残された7日間で生き残るための戦いを強いられる。極限状態の中、彼らは神の試練や悪魔の王(ベル)と対峙し、人類の未来を左右する思想的「選択」(王道、覇道、魔道など)を迫られる。

マッピング分析

座標 (X, Y): (-2, 7)

分析・根拠: Y軸 (+7 世界の運命・哲学): 「東京封鎖」という閉鎖空間が舞台だが、テーマは「神の試練」であり、最終的な選択は世界のあり方(ロウ・カオス・ニュートラルに近い思想分岐)に直結する。SMT本流に近い「世界的」なテーマ性を持つため+7と評価。
X軸 (-2 ストイック・ダンジョンRPG): 戦略性の高いSRPGパートと、悪魔合体・育成(スキルクラックなど)というストイックなゲームプレイが核。一方で、ADVパートでの仲間との交流や、選択による物語分岐も非常に重要であり、「物語体験」の比重も大きい。両者のバランスが取れているが、ゲームプレイの歯ごたえがやや勝るため-2とした。

▲ マップに戻る

魔人転生 シリーズ

基本情報

主な媒体: ゲーム (SFC)

ゲームジャンル: シミュレーションRPG

作品概要: 『真・女神転生』の世界観をベースにしたシミュレーションRPG。悪魔が跋扈する東京を舞台に、主人公は悪魔を使役し、ユニットとしてマップ上の敵と戦う。本家同様にロウ・カオス・ニュートラルの属性分岐が存在し、どの勢力につくかで物語が変化する。『II』ではさらに高難易度のSRPGとして知られる。

マッピング分析

座標 (X, Y): (-8, 8)

分析・根拠: Y軸 (+8 世界の運命・哲学): SMT本編と同様の「ロウ vs カオス」の思想対立や、神と悪魔の戦いをSRPGという異なるフォーマットで描いており、テーマ性は「世界的・哲学的」で+8。
X軸 (-8 ストイック・ダンジョンRPG): 当時のSRPGとして非常に歯ごたえのある難易度(特に『II』)と、悪魔合体を駆使したユニット編成という戦略性が魅力の核。キャラクター描写や物語演出は比較的シンプルであり、純粋なシミュレーションゲームとしての「ストイック」さが際立つため-8と評価。

▲ マップに戻る

真・女神転生 STRANGE JOURNEY

基本情報

主な媒体: ゲーム (DS, 3DS)

ゲームジャンル: 3DダンジョンRPG

作品概要: 21世紀初頭、南極に突如出現した亜空間「シュバルツェルト」。それは全てを飲み込み拡大を続けていた。人類は最新鋭のデモニカスーツに身を包んだ調査隊を派遣する。主人公(調査隊員)は、内部で悪魔と遭遇し、悪魔召喚プログラムを起動。人類の業(ごう)が生み出した混沌の世界で、主人公は「ロウ」を信奉するゼレーニン、「カオス」に傾倒するヒメネスと共に、人類の未来を賭けた選択を迫られる。

マッピング分析

座標 (X, Y): (-9, 9)

分析・根拠: Y軸 (+9 世界の運命・哲学): 環境破壊という現実的な問題(人類の業)を起点に、根源的な「ロウ(神の秩序)」と「カオス(悪魔の自由)」の対立へと昇華させるシナリオは、極めて「哲学的」かつ「世界的」。人類そのものの是非を問う重いテーマのため+9。
X軸 (-9 ストイック・ダンジョンRPG): 『I』『II』のような古き良き3DダンジョンRPG(Wiz系)への原点回帰。マッピングの重要性、高難易度の戦闘、デビルCO-OPという新システム、膨大な悪魔合体など、ゲームプレイの「ストイック」さが魅力の核。物語も重厚だが、プレイヤー体験の中心は探索と戦闘にあるため-9とした。

▲ マップに戻る

デビルサマナー ソウルハッカーズ

基本情報

主な媒体: ゲーム (SS, PS, 3DS)

ゲームジャンル: 3DダンジョンRPG

作品概要: 近未来、最先端のインフラを持つハイテク都市「天海市」。街が管理する仮想空間「パラダイムX」に熱中する主人公は、ハッカー集団「スプーキーズ」の一員として活動していた。ある日、彼は悪魔召喚師(デビルサマナー)の力を持つ銃型COMPを入手。そのCOMPに宿っていた記憶喪失の思念体「ネミッサ」と共に、天海市の裏でうごめく巨大企業アルゴンの陰謀と、街に潜む悪魔たちの戦いに巻き込まれていく。

マッピング分析

座標 (X, Y): (-5, 2)

分析・根拠: Y軸 (+2 世界の運命・哲学): サイバーパンクな世界観で、巨大企業の陰謀を追う物語が主軸。最終的には街の存亡に関わるが、SMT本編のような「世界の運命」や「思想対立」よりは、閉じたコミュニティ(天海市)での事件解決という側面が強く、スケールは比較的小さいため+2。
X軸 (-5 ストイック・ダンジョンRPG): 悪魔の「忠誠度」や性格、COMPの改造、ネミッサの育成など、非常にマニアックで奥深い「ストイック」なRPGシステムが色濃く残っている。90年代後半のサイバーパンクな雰囲気やネミッサというキャラの魅力(物語体験)もあるが、ゲームプレイの比重が高いため-5とした。

▲ マップに戻る

葛葉ライドウ シリーズ

基本情報

主な媒体: ゲーム (PS2)

ゲームジャンル: アクションRPG

作品概要: 時は「大正二十年」。帝都東京が舞台。悪魔召喚師(デビルサマナー)の名門「葛葉」の十四代目を襲名した主人公「葛葉ライドウ」は、学生の傍ら、鳴海探偵社で見習いデビルサマナーとして超常的な事件の調査に当たる。仲魔(悪魔)と共に事件を「捜査」し、戦闘では仲魔と連携して戦うアクションRPG。大正ロマンあふれる帝都の裏で暗躍する者たちと戦う。

マッピング分析

座標 (X, Y): (2, 1)

分析・根拠: Y軸 (+1 世界の運命・哲学): 基本は帝都の平和を守る「探偵モノ」であり、個別の超常事件を解決していくのが主軸。物語のスケールは比較的小さく、思想的な対立も薄い(『2』でややスケールアップするが)。Y軸の評価は低めの+1。
X軸 (+2 物語体験・キャラクター): シリーズ初の本格アクションRPG。戦闘システム(敵の弱点を突く、仲魔との連携)も存在するが、それ以上に「大正ロマン×デビルサマナー」という独特の雰囲気、悪魔を駆使した「捜査」パート、ライドウや鳴海といったキャラクターの魅力といった、「体験」部分が魅力の核となっているため+2と評価。

▲ マップに戻る

ペルソナ2 罪・罰

基本情報

主な媒体: ゲーム (PS)

ゲームジャンル: RPG

作品概要: 「噂が現実になる」都市、珠閒瑠(すまる)市。主人公・周防達哉たちは、自らを「ジョーカー」と名乗る謎の存在と対峙する。やがて彼らは、幼少期に交わした「罪」の記憶と向き合うことになる。『罪』と、パラレルワールドを舞台に別の視点から描く『罰』(主人公・天野舞耶)の二部作構成。ペルソナ能力を使い、仲間たちとの「合体魔法」を駆使して、街を覆う巨大な陰謀と世界の危機に立ち向かう。

マッピング分析

座標 (X, Y): (6, -3)

分析・根拠: Y軸 (-3 個人の成長・人間関係): 物語のスケールは最終的に「地球の滅亡」にまで発展するが、その全ての動機と核は、「幼馴染たちの過去の清算」「忘れていた罪」という、極めて個人的なトラウマと濃密すぎる人間関係にある。世界の危機よりも「あの頃の自分たち」に焦点が当たっているため、Y軸はマイナスの-3と評価。
X軸 (+6 物語体験・キャラクター): 複雑怪奇で難解だが、強烈なカタルシスを持つストーリーと、達哉、舞耶、淳といったキャラクターたちの強烈な描写が全て。フリータロットによるペルソナ作成や合体魔法といったシステムは存在するが、ゲームの魅力の核は完全に「物語体験」にあるため+6とした。

▲ マップに戻る

世界樹の迷宮 シリーズ

基本情報

主な媒体: ゲーム (DS, 3DS,steam)

ゲームジャンル: 3DダンジョンRPG

作品概要: 辺境の街「エトリア」の傍らにそびえ立つ、前人未踏の「世界樹の迷宮」。富と名声、あるいは真実を求め、無数の冒険者が迷宮に挑んでいた。プレイヤーは自ら冒険者ギルドを結成し、様々な職業(パラディン、レンジャー、メディック等)のキャラクターを作成。DS(3DS)の下画面で「地図を描き」ながら、強力な魔物(F.O.E.)を避け、あるいは倒し、迷宮の奥底を目指す。

マッピング分析

座標 (X, Y): (-10, -8)

分析・根拠: Y軸 (-8 個人の成長・人間関係): 世界の運命を救うといった壮大な物語は(特に初期作では)ほぼ存在せず、あくまで「自分(プレイヤー)が育てたギルド」の冒険と成長、そして迷宮踏破という個人的な目標が全て。物語はフレーバー程度であり、Y軸は極めて「個人的」な-8。
X軸 (-10 ストイック・ダンジョンRPG): 手描きのマッピング、F.O.E.(Field On Enemy)の恐怖、シビアな戦闘バランス、奥深いスキルビルドとパーティ編成。物語性や演出を極限まで排し、古き良きWiz系の「探索」「戦闘」「育成」というRPGの根源的な面白さを追求した極地。まさに「ストイックRPG」の-10と評価。

▲ マップに戻る

ペルソナQ / Q2

基本情報

主な媒体: ゲーム (3DS)

ゲームジャンル: 3DダンジョンRPG

作品概要: 『ペルソナ3』と『ペルソナ4』のキャラクターたちが(『Q2』では『5』の怪盗団も加わる)、それぞれの物語の途中で謎の異世界に迷い込む。元の世界に戻るため、彼らは『世界樹の迷宮』風のダンジョンを探索することになる。デフォルメされたキャラクターたちが作品の垣根を超えて交流する、お祭り的なクロスオーバー作品。

マッピング分析

座標 (X, Y): (-8, -5)

分析・根拠: Y軸 (-5 個人の成長・人間関係): 本編のようなシリアスな哲学的テーマはほぼ存在せず、完全なお祭り作品。物語の焦点は「もしP3主人公とP4主人公が出会ったら?」といった、キャラクター同士のコミカルな交流(人間関係)に特化しているため-5。
X軸 (-8 ストイック・ダンジョンRPG): ゲームシステムは、ペルソナのシステム(弱点、総攻撃)を取り入れつつも、その根幹は『世界樹の迷宮』。手描きマッピング、F.O.E.との死闘、歯ごたえのあるダンジョン探索がゲームプレイの中心。ペルソナの皮を被ったストイックなダンジョンRPGであり、ゲームプレイ重視の-8と評価。

▲ マップに戻る

ラジアントヒストリア

基本情報

主な媒体: ゲーム (DS, 3DS)

ゲームジャンル: RPG

作品概要: 大陸が「砂漠化」により滅びゆく世界。主人公の諜報員ストックは、瀕死の際に「白示録(びゃくしろく)」の力に目覚め、時を遡る能力を得る。彼は「正伝」と「異伝」という、分岐した2つの歴史(パラレルワールド)を行き来しながら、仲間を救い、国の陰謀を暴き、世界を砂漠化から救う「真実の歴史」を紡ごうと戦う。無数のバッドエンドの先に、唯一の未来を探す物語。

マッピング分析

座標 (X, Y): (4, 6)

分析・根拠: Y軸 (+6 世界の運命・哲学): 世界の「砂漠化」という滅びを止める、という王道の「世界的」な使命が物語の核にあるため+6と評価。
X軸 (+4 物語体験・キャラクター): 敵をマス目上で移動させて攻撃する「グリッド式バトル」という戦略的なシステム(ストイック寄り)も魅力。しかし、それ以上に「もしも」の歴史を追体験し、無数のバッドエンドを乗り越えて情報を集め、真実のルートを切り開いていくという、時間SFモノとしての濃密な「物語体験」が作品の最大の核となっているため+4とした。

▲ マップに戻る

ペルソナ3

基本情報

主な媒体: ゲーム (PS2, PSP, 3DS, etc)

ゲームジャンル: RPG

作品概要: 1日と1日の狭間にある隠された時間「影時間」。その時間、人々はオブジェと化し、シャドウと呼ばれる異形の怪物が跋扈する。主人公の少年はペルソナ能力に目覚め、同じ能力者たちで構成された「特別課外活動部(S.E.E.S.)」の仲間と共に、影時間に出現する巨大な塔「タルタロス」の探索に挑む。カレンダーに沿って学園生活を送りながら、仲間との「コミュニティ(コミュ)」を築き、やがて来る世界の「滅び」に立ち向かう。

マッピング分析

座標 (X, Y): (7, -6)

分析・根拠: Y軸 (-6 個人の成長・人間関係): 最終的な敵は「ニュクス」という「死」そのものでありスケールは極めて大きい。しかし、物語の焦点は「メメント・モリ(死を想え)」というテーマと、仲間との絆や学園生活(コミュ)を通じて、虚無的だった主人公が「生きる意味」を見出すという、極めて「個人的な成長」にあるため-6と評価。
X軸 (+7 物語体験・キャラクター): RPG(タルタロス探索)と学園シミュレーション(コミュ)の融合という革新的なシステム。スタイリッシュなUIと音楽、魅力的な仲間たちとの「学園生活を体験する」こと自体がゲームプレイの核であり、従来のRPGとは一線を画す「物語体験」重視の作品。この作品がシリーズの転換点となったため+7。

▲ マップに戻る

ペルソナ4

基本情報

主な媒体: ゲーム (PS2, Vita, etc)

ゲームジャンル: RPG

作品概要: 両親の都合で田舎町・稲羽市に越してきた主人公。転校早々、町では奇妙な連続怪奇殺人事件が発生する。雨の夜の午前0時に、消えているテレビを見ると「運命の人」が映るという「マヨナカテレビ」の噂。主人公たちはテレビの中の異世界でペルソナ能力に目覚め、「自称特別捜査隊」を結成。仲間と共に犯人を追い、自分自身の「影(シャドウ)」と向き合っていく。

マッピング分析

座標 (X, Y): (8, -9)

分析・根拠: Y軸 (-9 個人の成長・人間関係): P3の「死」とは対照的に、舞台を田舎町という閉鎖空間に限定。テーマも「真実を追う」「自分の見たくない側面(シャドウ)を受け入れる」という、極めて「個人的」なトラウマの克服と「仲間との絆」に特化しているため、Y軸は-9と評価。
X軸 (+8 物語体験・キャラクター): P3のシステムを継承し、さらに明るい学園生活や仲間との「絆」を前面に押し出した。「ジュブナイル活劇」としての物語体験、ポップな演出、魅力的なキャラクターたちが最大の魅力。RPGとしての歯ごたえも残しつつ、P3以上に「体験」重視の作風となったため+8。

▲ マップに戻る

ペルソナ5

基本情報

主な媒体: ゲーム (PS3, PS4, etc)

ゲームジャンル: RPG

作品概要: 現代の東京。ある事件をきっかけに「前歴」を背負わされた主人公は、秀尽学園に転入する。しかし、そこでも理不尽な大人たちの欲望に直面。仲間たちと共にペルソナ能力に目覚めた彼らは「心の怪盗団」を結成。歪んだ欲望の具現化である異世界「パレス」に潜入し、その核である「オタカラ」を盗み出すことで、腐った大人たちを「改心」させる戦いを挑むピカレスク・ロマン。

マッピング分析

座標 (X, Y): (9, -7)

分析・根拠: Y軸 (-7 個人の成長・人間関係): テーマは「社会への反逆」だが、その動機は虐げられた個人の復讐と成長(居場所の獲得)であり、P3/4同様、焦点は「個人的」なものから始まる(最終的には社会全体へとスケールアップするが)。仲間との「コープ」活動も、個人の関係性に焦点を当てているため-7。
X軸 (+9 物語体験・キャラクター): P3/4の集大成。洗練の極みに達したUI、BGM、演出、そして「怪盗」として潜入ルートを確保し、予告状を出し、オタカラを盗むという一連の「ロールプレイング体験」こそが本作の最大の魅力。戦闘や育成(ストイックさ)も存在するが、全てが「スタイリッシュな怪盗体験」に従属しており、+9と評価。

▲ マップに戻る

幻影異聞録♯FE

基本情報

主な媒体: ゲーム (Wii U, Switch)

ゲームジャンル: RPG

作品概要: 現代の東京を舞台に、芸能界(アーツ)で輝こうとする若者たちが主人公。彼らは、異世界から来た『ファイアーエムブレム』の英雄たち(ミラージュ)と融合し、ペルソナ能力に似た力で戦う。人々から輝きの源「パフォーマ」を奪う異世界の侵略者と戦いながら、アイドルや俳優としてトップスターを目指す、青春サクセスストーリー。

マッピング分析

座標 (X, Y): (7, -8)

分析・根拠: Y軸 (-8 個人の成長・人間関係): 世界の危機も描かれるが、物語の核は完全に「芸能界でのし上がる」という主人公たちの個人的な成長と、キラキラした青春ドラマに振り切っている。ペルソナ4以上に「個人的」なサクセスストーリーが中心のため-8。
X軸 (+7 物語体験・キャラクター): バトルシステムはSMT系の弱点システム(セッション)を採用し戦略的(ストイック寄り)。しかし、ゲーム全体の魅力は、J-POPの楽曲や華やかなライブ演出、キャラクターの成長物語といった、徹底した「アイドル・芸能界体験」にある。P4に近い「体験」重視の作品であり+7とした。

▲ マップに戻る

キャサリン・フルボディ

基本情報

主な媒体: ゲーム (PS3, PS4, etc)

ゲームジャンル: アクションパズル・ADV

作品概要: 恋人「キャサリン(Katherine)」との結婚に悩む優柔不断な男「ヴィンセント」。ある日彼は、理想の(?)浮気相手「キャサリン(Catherine)」と出会い、一夜を共にしてしまう。さらに癒やしの存在「リン(Qatherine)」も現れ、彼の日常は修羅場と化す。同時に彼は、命がけでブロックを登る「悪夢」のパズルに毎夜うなされることになる。

マッピング分析

座標 (X, Y): (5, -10)

分析・根拠: Y軸 (-10 個人の成長・人間関係): 世界の運命など一切関係なく、一人の男の「結婚か、自由か、あるいは第三の道か」という極めて個人的な葛藤と修羅場のみを描く。テーマのスケールはアトラス作品群の中で最もミクロであり、Y軸の最低値-10とした。
X軸 (+5 物語体験・キャラクター): ゲーム性が「ADVパート(物語体験)」と「パズルパート(ストイック)」に明確に二分されている。パズルは非常に骨太で歯ごたえがあるが、ADVでの選択が物語分岐に強く影響する。両者が不可分な魅力の核であり、ほぼ中間だが、やや物語体験寄りの+5と評価。

▲ マップに戻る

十三機兵防衛圏

基本情報

主な媒体: ゲーム (PS4, Switch)

ゲームジャンル: ADV・シミュレーション

作品概要: 1980年代(を主軸)の日本。13人の少年少女が、突如出現した「怪獣」と戦うため、巨大なロボット「機兵」に乗り込む。物語は「崩壊編(バトル)」「追憶編(ADV)」「究明編(アーカイブ)」の3パートで進行。主人公たちの視点は時代や場所を超えて交錯し、無数の謎が絡み合う。プレイヤーは断片的な物語を読み解きながら、世界の存亡をかけた戦いの真相に迫る、壮大なSF群像劇ミステリー。

マッピング分析

座標 (X, Y): (10, 7)

分析・根拠: Y軸 (+7 世界の運命・哲学): 物語は学園生活や個人的な恋愛模様から始まるが、その真相は人類の存亡、ループする歴史、世界の真実といった、極めて壮大なSF叙事詩であり「世界的」なテーマに着地するため+7。
X軸 (+10 物語体験・キャラクター): ゲームプレイの核は、タワーディフェンス風の「崩壊編(バトル)」もあるが、それ以上に「追憶編(ADV)」で13人の主人公の物語を読み解くことそのものがゲームとなっている。美しいグラフィックと練り込まれたシナリオを「体験」することに全振りしており、X軸の最高値+10と評価。

▲ マップに戻る

メタファー:リファンタジオ

基本情報

主な媒体: ゲーム (PS5, PS4, Xbox Series X/S, PC)

ゲームジャンル: ファンタジーRPG

作品概要: 2025年に発売されたアトラス(スタジオ・ゼロ)の完全新作ファンタジーRPG。国王が暗殺され、次期国王を「王選の儀」という国民投票で決めることになった「ユークロニア連合王国」が舞台。主人公は、少数民族「エルダ族」の少年。呪われた王子(親友)を救うため、相棒の妖精ガリカと共に旅に出る。その旅は、やがて王国の覇権を争う王位継承レースへと発展していく。広大な世界を「ガイアランナー」と呼ばれる馬車で旅し、人々の支持(フォロワー)を集めながら、王国に潜む不安や部族間の対立といった問題に直面する。

マッピング分析

座標 (X, Y): (8, 4)

分析・根拠: Y軸 (+4 世界の運命・哲学): 物語の核は「王位継承レース」であり、王国の政治的未来や部族間の社会的対立を扱うため、テーマは「世界的」。しかし、その進め方は『ペルソナ』的な「フォロワー(支持者)」との個人的な絆の構築であり、テーマも「不安の克服」という内面的なもの。そのため、SMT(+10)ほど哲学的・終末的ではなく、P5(-7)ほど個人的でもない、中間よりやや「世界的」な+4と評価。
X軸 (+8 物語体験・キャラクター): 『ペルソナ5』チーム(スタジオ・ゼロ)が手掛けるだけあり、UI、音楽、キャラクターデザイン(副島氏)が極めてスタイリッシュ。ゲームプレイも「アーキタイプ」と呼ばれるジョブ(ペルソナ)の育成・合体といった奥深いシステム(ストイック)と、「フォロワー」との絆や時間管理といった「物語体験」が融合している。P5同様、この「体験」こそが魅力の核であるため+8とした。

▲ マップに戻る

コメント

タイトルとURLをコピーしました