
栞
今週は個人的に、まさに「ボードゲームウィーク」でした。 『3月のライオン』の最新刊を読んで心を揺さぶられ、マガポケでは日課の『伍と碁』を追いかけ、さらに『ヒカルの碁』原画展のニュースに胸を躍らせる日々……。
こうして新旧の名作に同時に触れていると、ふとあることに気づきます。同じ「盤上の戦い」を描いていても、読み手の心を掴むポイントは作品ごとに全く違うのではないか?と。 静かなる闘志に涙する作品もあれば、理詰めの心理戦に手に汗握る作品もある。
そこで今回は、将棋・囲碁・麻雀などを題材にした名作たちが、それぞれ「物語のどこに重心を置いているのか」を可視化すべく、マッピング分析を行ってみました。
分析の評価軸について
縦軸 (Y): 物語のフォーカス
- +10 (プロ・競技):タイトル戦、プロの厳しさ、頂点を目指す道。
- -10 (日常・交流):部活、趣味、賭け事、コミュニケーション手段。
横軸 (X): ゲームの描かれ方
- +10 (熱血・ドラマ):感情、成長、人間関係、勢いや流れの重視。
- -10 (心理・頭脳戦):ロジック、読み合い、戦術解説、心理的駆け引き。
作品分布マップ
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プロ・競技志向 (+10)
日常・交流志向 (-10)
熱血
ドラマ
(+10)
ドラマ
(+10)
心理
頭脳戦
(-10)
頭脳戦
(-10)
将棋
囲碁
麻雀
その他
3月のライオン
著者:羽海野チカ
出版社:白泉社
媒体:漫画 (ヤングアニマル) / アニメ / 映画
作品概要
幼い頃に交通事故で家族をすべて失い、父の友人の棋士の家に引き取られた主人公・桐山零。15歳でプロ棋士になるという天才的な才能を持ちながらも、深い孤独と、養父の家庭を壊してしまったという自責の念を抱えて生きています。
物語は、彼が東京の下町で暮らす川本家(あかり、ひなた、モモの3姉妹)と出会い、彼女たちの温かさに触れることで、失っていた感情や居場所を少しずつ取り戻していく再生の物語です。同時に、A級棋士としての厳しい戦いや、ライバルである二海堂晴信との切磋琢磨、そしていじめ問題や家族の確執といった重厚な人間ドラマが丁寧に描かれています。
マッピング分析・根拠
【X軸: +8 (熱血・ドラマ重視)】
将棋の対局シーンそのものも描かれますが、それ以上に重視されているのは「なぜ指すのか」「何を背負って戦うのか」という棋士たちの内面描写です。対局は彼らの人生哲学や生き様のぶつかり合いとして表現され、心象風景を用いたエモーショナルな演出が多用されます。読者の感情を強く揺さぶる人間ドラマに最大の比重があるため、高いプラス評価としています。
【Y軸: +8 (プロ・競技志向)】
主人公は現役のプロ棋士(C級1組→B級2組)であり、名人戦や獅子王戦といったタイトル戦、順位戦の厳しさが物語の骨格を成しています。生活の糧として、そして生きる証としての将棋が描かれており、競技性の高さは間違いありません。
りゅうおうのおしごと!
著者:白鳥士郎
出版社:SBクリエイティブ
媒体:ライトノベル (GA文庫) / アニメ
作品概要
16歳にして将棋界の最高タイトル「竜王」を奪取したものの、その後スランプに陥っていた主人公・九頭竜八一。彼の自宅に、突然「やくそくどおり、弟子にしてください!」と小学3年生の少女・雛鶴あいが押しかけてくることから物語は始まります。
当初はドタバタコメディとして展開しますが、あいの異常なまでの将棋の才能と執着心が明らかになるにつれ、物語は師弟の絆と熱い成長譚へとシフトしていきます。ロリコンネタなどのコミカルな要素を含みつつも、実際の棋譜や将棋界のリアルな事情、AI研究の是非などを取り入れた、極めて本格的な将棋小説です。
マッピング分析・根拠
【X軸: +9 (熱血・ドラマ重視)】
ライトノベル特有のキャラクター性を活かしつつ、対局シーンでは少年漫画顔負けの「熱血」演出が炸裂します。「必殺技」のような手の表現や、極限状態での精神的な覚醒など、エンターテインメントとしてのカタルシスを重視したドラマチックな描かれ方が顕著です。
【Y軸: +7 (プロ・競技志向)】
主人公がタイトルホルダーであり、タイトル防衛戦や三段リーグ(奨励会)の過酷さが詳細に描かれています。競技としてのレベルは非常に高い設定ですが、小学生の大会なども主要な舞台となるため、純粋なプロ棋士のみの世界を描く作品に比べるとやや数値は下がります。
ヒカルの碁
著者:ほったゆみ / 小畑健
出版社:集英社
媒体:漫画 (週刊少年ジャンプ) / アニメ
作品概要
ごく普通の小学生・進藤ヒカルが、祖父の家の蔵にあった古い碁盤に血痕を見つけたことをきっかけに、平安時代の天才棋士・藤原佐為の霊に取り憑かれてしまう物語です。
当初は佐為に言われるがままに石を置いていたヒカルですが、同年代の天才少年・塔矢アキラとの出会いにより、自らの意志で囲碁を打ちたいと願うようになります。「神の一手」を追い求める佐為の情熱と、それを継承し乗り越えようとするヒカルの成長、そしてライバルたちとの切磋琢磨が描かれます。囲碁を知らない子供たちをも熱狂させ、社会現象ともなった金字塔的作品です。
マッピング分析・根拠
【X軸: +5 (バランス型・ややドラマ)】
ジャンプ漫画の王道である「友情・努力・勝利」の熱いドラマがありながら、実際のプロ棋士(梅沢由香里ら)が監修した棋譜に基づき、盤面上の戦略や読み合いも疎かにしていません。ドラマ性と知的なゲーム性のバランスが奇跡的なレベルで融合しているため、中心よりややドラマ寄りの位置としています。
【Y軸: +9 (プロ・競技志向)】
物語の主眼は、院生試験からプロ試験、そしてプロ入り後の日中韓対抗戦へと続く「プロへの道」そのものです。趣味レベルではなく、人生を賭けた職業としての囲碁の世界を一貫して描いているため、競技志向は非常に高いです。
ちはやふる
著者:末次由紀
出版社:講談社
媒体:漫画 (BE・LOVE) / アニメ / 映画
作品概要
「競技かるた」に情熱を懸ける少女・綾瀬千早が主人公の青春物語です。小学生の頃、転校生の綿谷新によってかるたの面白さを教えられた千早は、幼馴染の真島太一とともにかるた会に入ります。その後、高校生になった彼らが再会し、かるた部を創設して全国大会優勝を目指す姿を描きます。
少女漫画の枠を超えた迫力ある試合描写と、千早・太一・新の三角関係を含む繊細な恋愛模様、そして部員たちの成長が絡み合います。「畳の上の格闘技」と呼ばれる競技かるたの激しさと、古典和歌の雅な世界観が見事に融合しています。
マッピング分析・根拠
【X軸: +10 (熱血・ドラマ重視)】
文化系部活動の皮を被った、完全なる「スポ根(スポーツ根性)」作品です。0.1秒を争う瞬発力、汗と涙、チームの絆、才能への渇望といった要素が、極めて情熱的に描かれています。読み合いなどの頭脳戦要素もありますが、それ以上に気迫や精神力、仲間への想いが勝敗を分ける演出が多く、熱血度は最大値です。
【Y軸: +8 (プロ・競技志向)】
高校の部活動(インターハイ)がメインの舞台ではありますが、物語の最終目標は競技かるた界の頂点である「クイーン位」「名人位」への挑戦です。単なる思い出作りではなく、生涯をかけて道を極めようとする姿勢が描かれているため、高い競技志向を持っています。
しおんの王
著者:かとりまさる / 安藤慈朗
出版社:講談社
媒体:漫画 (月刊アフタヌーン) / アニメ
作品概要
幼い頃に両親を惨殺され、そのショックで声を失った少女・安岡紫音。彼女は犯人が現場に残した将棋の駒を握りしめ、将棋の世界で犯人を見つけ出すためにプロ棋士の道を歩み始めます。
女流棋士たちの華やかな戦いの裏側で進行する、血塗られたサスペンスが見どころです。原作者が現役のプロ棋士(※原作者のかとりまさる氏は元プロ棋士の林葉直子氏)であるため、将棋界の描写はリアリティがあり、ミステリー要素と将棋の勝負が密接に絡み合う独特の緊張感を持った作品です。
マッピング分析・根拠
【X軸: -5 (心理・サスペンス重視)】
熱いドラマというよりは、常に不穏な空気が漂うサスペンスです。対局相手の心理を読み解くことが、そのまま殺人事件の真相解明の手掛かりになる構造を持っており、盤面の読み合いが「犯人との対話」として機能しています。静的で張り詰めた緊張感が特徴です。
【Y軸: +8 (プロ・競技志向)】
舞台は完全にプロ(女流棋士)の世界です。生活のかかった賞金争いや、男女の棋士制度の違いなど、シビアな現実も描かれています。プロとして生きることの覚悟が問われる作品です。
アカギ 〜闇に降り立った天才〜
著者:福本伸行
出版社:竹書房
媒体:漫画 (近代麻雀) / アニメ / ドラマ
作品概要
戦後の動乱期、突如として裏社会の賭け麻雀の場に現れた白髪の少年・赤木しげる。「死ぬ気配」すら感じさせない彼は、並外れた才気と狂気を武器に、ヤクザや代打ちたちを次々と葬り去っていきます。
特に物語の後半を占める「鷲巣麻雀」編では、自らの血液を賭けるという異常なルールの下、裏社会の帝王・鷲巣巌との一夜の死闘が描かれます。麻雀というゲームを通じて、人間の欲望、恐怖、そして生と死の本質を問いかける、ピカレスク・ギャンブルの金字塔です。
マッピング分析・根拠
【X軸: -10 (心理・頭脳戦重視)】
一打に何話も費やされることからも分かる通り、描かれるのは極限まで引き伸ばされた心理描写と思考の応酬です。確率論だけでなく、相手の恐怖心や疑心暗鬼を利用して場を支配する「悪魔的な心理戦」に特化しており、X軸マイナスの極致と言えます。
【Y軸: -5 (日常・交流志向 ※実際は裏社会)】
プロ団体の競技麻雀ではなく、法に触れる「賭け麻雀」であり、命や巨額の金銭がやり取りされる裏社会が舞台です。そのため、スポーツ的な意味での「競技志向」とは対極にありますが、単なる遊び(日常)とも異なる独自の領域にあります。
咲-Saki-
著者:小林立
出版社:スクウェア・エニックス
媒体:漫画 (ヤングガンガン) / アニメ
作品概要
麻雀が現実よりもはるかにメジャーな国民的競技として浸透している世界。プラスマイナスゼロで和了るという奇跡的な打ち方をする少女・宮永咲が、天才的な打ち手である原村和と出会い、清澄高校麻雀部の一員として全国大会(インターハイ)の頂点を目指します。
登場する女子高生たちはそれぞれ、「嶺上開花が得意」「ステルス機能」など、麻雀の枠を超えた超能力的な特技を持っています。美少女たちの友情と、異能バトルにも似たド派手な対局シーンが融合した作品です。
マッピング分析・根拠
【X軸: +7 (熱血・ドラマ重視)】
論理的な戦術よりも、キャラクター固有の「能力」や、その場の「流れ・支配力」が勝敗を決定づける描写が中心です。仲間との約束や過去の因縁が力に変わる演出は非常にドラマチックで、ファンタジー要素を含んだ熱血バトルと言えます。
【Y軸: +6 (プロ・競技志向)】
部活動ではありますが、インターハイ優勝を目指す明確な競技麻雀です。プロ雀士への道も示唆されており、スポーツ競技としての側面が強く押し出されています。
哲也-雀聖と呼ばれた男-
著者:さいふうめい / 星野泰視
出版社:講談社
媒体:漫画 (週刊少年マガジン) / アニメ
作品概要
終戦直後の荒廃した日本。実在した伝説の雀聖・阿佐田哲也をモデルにした主人公が、生きるために麻雀を打ち、玄人(バイニン)としての技と生き様を磨いていく物語です。
新宿を舞台に、房州という師匠との出会いと別れ、ドサ健などの強烈なライバルたちとの死闘が描かれます。単なるゲームではなく、イカサマ技(積み込み、すり替え)が横行する無法地帯で、いかに相手を出し抜くかという、生き残りをかけたサバイバルドラマです。
マッピング分析・根拠
【X軸: -6 (心理・頭脳戦重視)】
運任せではなく、イカサマという「技術」と、それを見破る眼力、そして相手の隙を突く心理的な駆け引きが勝負の鍵を握ります。玄人同士の高度な騙し合いがメインであり、知的な戦い(ズル賢さ含む)に分類されます。
【Y軸: -8 (日常・交流志向 ※生活・賭博)】
プロ競技ではなく、明日の食事代を稼ぐための賭博です。交流というよりは「生存競争」に近く、競技的なルールやマナーよりも、その場の掟が優先されるアウトローな世界です。
放課後さいころ倶楽部
著者:中道裕大
出版社:小学館
媒体:漫画 (ゲッサン) / アニメ
作品概要
京都を舞台に、引っ込み思案な女子高生・武笠美姫が、転校生の高屋敷綾、クラス委員長の大野翠と出会い、アナログボードゲーム(ドイツゲームなど)の世界に魅了されていく日常系青春ストーリーです。
『カタン』や『ごきぶりポーカー』など実在する様々なボードゲームが登場し、そのルールや面白さが丁寧に紹介されます。ゲームの勝敗そのものよりも、ゲームを通じて育まれる少女たちの友情や、悩みながらも少しずつ成長していく姿に焦点が当てられています。
マッピング分析・根拠
【X軸: +4 (ドラマ・情感重視)】
ゲームの攻略法も描かれますが、メインとなるのは「遊ぶことの楽しさ」や、ゲームを通して相手の性格を知り、仲良くなっていく過程です。ふんわりとした優しいタッチで、日常の中の小さなドラマを描いています。
【Y軸: -9 (日常・交流志向)】
タイトル通り「放課後」の部活動や趣味の時間であり、プロを目指すといった要素はほぼありません。純粋にホビーとしてのボードゲームの魅力を伝える、日常・交流志向の代表的な作品です。
それでも歩は寄せてくる
著者:山本崇一朗
出版社:講談社
媒体:漫画 (週刊少年マガジン) / アニメ
作品概要
自称・将棋部部長の高校2年生・八乙女うるしと、将棋初心者の1年生・田中歩の2人だけしかいない将棋部を舞台にしたラブコメディです。
歩は「うるしに将棋で勝ったら告白する」と心に決めていますが、実力差がありすぎてなかなか勝てません。しかし、対局中に歩が投じる大胆な求愛めいた言葉(攻め)に、うるしが赤面して動揺してしまうという、盤外戦での「攻防」が毎回の見どころです。将棋のルールを知らなくても楽しめる、ニヤニヤ必至の作品です。
マッピング分析・根拠
【X軸: +6 (ドラマ・恋愛重視)】
将棋盤はあくまで二人のコミュニケーションツールであり、描かれているのは「恋の駆け引き」です。盤面の戦況よりも、対局中の会話や表情、心の声といった恋愛ドラマ要素が主軸です。
【Y軸: -9 (日常・交流志向)】
部活動という設定ですが、大会での勝利よりも二人の時間を共有することが目的化しています。競技性は極めて低く、日常の延長線上にある活動です。
ハチワンダイバー
著者:柴田ヨクサル
出版社:集英社
媒体:漫画 (週刊ヤングジャンプ) / ドラマ
作品概要
一度はプロ棋士への道を諦めた元奨励会員・菅田健太郎が、秋葉原の「真剣師(賭け将棋で生きる者)」の世界に足を踏み入れます。「ハチワン」というハンドルネームを持ち、謎のメイド巨乳棋士・中静そよとの出会いを経て、再び将棋への情熱を取り戻していきます。
物語は次第に、裏社会の将棋組織「鬼将会」との世界を賭けた戦いへとエスカレート。将棋漫画でありながら、流血や物理的な殴り合い、精神崩壊などが頻発する、テンションの振り切れたバトル漫画です。
マッピング分析・根拠
【X軸: +10 (熱血・バトル重視)】
「ダイブ」と称して盤面に没入する演出や、対局による物理的なダメージ描写など、もはや格闘技漫画の文法で描かれています。理屈を超えた「気合」や「執念」が物を言う世界観で、熱血度は測定不能レベルです。
【Y軸: +2 (独自の世界観)】
賭け将棋(アンダーグラウンド)から始まりますが、敵対する組織やその目的が壮大すぎて、単純な「日常」にも「プロ競技」にも当てはまりません。ただし、強さを追求するという点では求道的であるため、Y軸は中心付近としています。
伍と碁
著者:黒木闇
出版社:講談社
媒体:漫画 (ヤングマガジン)
作品概要
かつて「神童」と呼ばれ、あらゆる分野で天才的な才能を発揮していた少年・秋山恒星。しかし小学6年生の時、囲碁教室で出会った5人の同世代の子供たちに手も足も出ずに全敗するという、人生初の挫折を味わいます。
それから数年、普通の高校生として過ごしていた恒星ですが、あるきっかけで再び囲碁と向き合うことに。かつてのトラウマである「5人の天才」たちへのリベンジを誓い、埋もれていた才能を再び開花させていく、王道の復讐(リベンジ)&成長ストーリーです。
マッピング分析・根拠
【X軸: +5 (バランス・ドラマ)】
主人公の動機が「リベンジ」という強い感情に基づいているため、ドラマ性は高いです。一方で、AIを活用した現代的な囲碁の戦術や学習法なども取り入れられており、根性論だけではないロジカルな側面も描かれています。
【Y軸: +6 (競技志向)】
高校の囲碁部を舞台にしつつ、目指す相手が世代最強クラスの天才たちであるため、レベルの高い戦いが繰り広げられます。プロを目指す過程も含め、競技への真摯な姿勢が描かれています。
群舞のペア碁
著者:高木ユーナ
出版社:小学館
媒体:漫画 (ビッグコミックスピリッツ)
作品概要
男女がペアを組み、交互に石を打って対戦する「ペア碁」を題材にした珍しい作品です。プロ棋士を目指しているものの、極度のあがり症で実力を発揮できない高校生・臨群舞(のぞみぐんぶ)。彼が、幼馴染であり彼への愛が重すぎる少女・のぞみとペアを組むことになります。
ペア碁の最大の特徴は「対局中の会話禁止」。パートナーの意図を盤上の手から読み取らなければならないため、通常の囲碁以上にお互いの理解や信頼関係が問われます。高校生たちの恋愛感情やすれ違いが、そのまま勝負の行方を左右する青春群像劇です。
マッピング分析・根拠
【X軸: +3 (人間関係重視)】
純粋な読み合いよりも、「パートナーが何を考えているか」「どうすれば気持ちが伝わるか」というコミュニケーション不全とその解消に焦点が当たっています。恋愛や友情のドラマが、ゲームのシステムと直結している点がユニークです。
【Y軸: -2 (交流・部活)】
プロを目指す設定はありますが、ペア碁という競技の性質上、男女の交流やイベント的な側面も強く出ます。ストイックな競技性よりは、パートナーとの関係構築(日常・交流)の比重がやや高めです。
盤上のオリオン
著者:新川直司
出版社:講談社
媒体:漫画 (月刊少年マガジン)
作品概要
『四月は君の嘘』の新川直司氏が描く、青春将棋漫画です。かつて「神童」と呼ばれながらも、連敗続きでプロへの道を諦めかけていた奨励会員・二宮夕飛。彼はある日、バーで圧倒的な棋才を持つ少女・茅森月と出会います。
彼女の指し手は自由奔放で、まるで将棋の神様に愛されているかのよう。彼女との出会いをきっかけに、夕飛は再び将棋への情熱を取り戻していきます。挫折した少年と天才少女のボーイ・ミーツ・ガールを軸に、将棋に魅入られた若者たちの煌めきと苦悩を、詩的で美しいビジュアル表現で描いています。
マッピング分析・根拠
【X軸: +6 (詩的・ドラマ)】
作者特有のモノローグの多用や、感情が色や光となって溢れ出すような映像的な演出が特徴です。戦術的な解説よりも、対局を通じて交わされる魂の対話や、天才ゆえの孤独といった情緒的な面にスポットライトが当たっています。
【Y軸: +5 (競技志向)】
奨励会というプロ養成機関が舞台の一つであり、プロを目指す厳しさは前提にあります。しかし、物語の焦点は勝敗の結果以上に、主人公たちのアイデンティティの確立や青春の輝きにあるため、極端な競技志向の作品よりはややマイルドな位置づけです。



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